シンプルな花暮らし vol.2 春の白い花木
最終更新: 2020年3月11日

三月になりました。まずは桃の節句です。
桃といえばピンクが主流ですが、私は撮影で数年前に使った白い桃の枝があまりに綺麗で、一目惚れをしてしまいました。それ以来、桃の節句は白い桃の花派です。

路地の菜の花と小手鞠でいけました。桃の枝は直線的なので、その真っ直ぐさをそのまま活かしました。高さの差をつけることによって、メリハリをつけます。
たおやかな小手鞠の曲線を少しだけ添えます。

そして、春の白い花木の代表各は、雪柳。
その風になびくような枝の流れをそのままに。濃い色のスイトピーを塊で入れて、引き締めます。こちらは、私の師匠に教えていただいたデザインを自宅の花瓶で再現したものです。
『シンプルな花暮らし』のシンプルとは、いわゆる『一花一葉』や『一種いけ』だけでなく、『花材の取り合わせ種類が少ない』という作品もご紹介します。
なお、雪柳ですが、花が散っても芽吹きながら切花で長持ちすることがあります。
そういった場合は、枯れた小花を『振り落として』、『グリーンの枝物』として使ってあげてもいいです。春の球根植物を合わせて、3月から4月のデザインに使うとより芽吹きの季節感を出せます。

続いて椿。まずは、Japan beauty を引き立てる、備前器に。

ガラスのボウルもいいです。
椿は、とても個性が強いので、他の花と合わせるのが難しい。一種活けがやはり一番いいと思います。八重咲きは洋な器も合いますね。

そして、木蓮。
クリーム色がかった、陶器のような質感が好き。
傷つきやすく、すぐに花弁がバラっとなりますが、ポピーのように表皮が剥けて徐々に開花してくる様子を見ながら毎日過ごす時間が毎年待ち遠しいのです。久しぶりに実家から持ってきた、信楽?!の花瓶に入れました。

最後は、『白梅』をモノクロフィルムで撮影したもの。かくかくとした自然の枝の感じが墨絵のようですね。
白い花、特に花弁が薄いものは、バックライトを当てると透けて何ともいえないコントラストが出ます。ですから、モノクロフィルムカメラでもよく撮影しております。
ご覧になりたい方は、Instagramのアカウント @inn_ei でご紹介しています。
只今、世の中厳しい時期を迎えております。
例えば美術館関係も休館等が相次いでいるように、こうした局面になってくると、文化的なことからまず削られていきます。仕方ないです。
しかし、いつものように美しいものを美しいと感じながら過ごしたいと思っています。
私に出来る限り、皆様に引き続き、花のある暮らしをお届けします。
次回のテーマは、『花木』ではないですが、『春の草花』にしましょう。